日本赤十字北海道看護大学

大学院
修士課程

教員一覧

根本昌宏(ネモトマサヒロ)
  • 職位教授
  • 学位・資格等薬学博士・薬剤師
  • 専門分野(領域)薬理学・寒冷地防災学
連絡先
  • 電話番号0157-66-3311(代表)
  • E-mailメールはここから送信できます。
担当授業科目とその概要
(1)薬理学

薬力学、薬物動態学、毒性学を網羅する医薬品全般について学習する。総論では薬の基本特性から薬物の作用点、薬物動態、法律等を学習する。各論では個々の医薬品の薬効、有害作用、薬物相互作用を疾患ごとに学習する。

(2)臨床薬理学

薬理学で学んだ薬の基本について確認し、疾患別の理解を深めることによって、患者にとって有益な薬物治療につなげるために必要な知識を獲得する。

(3)生化学

生物学と化学を網羅した生化学は、正常な体の機能と病態を科学的に理解する。細胞小器官の機能と調節を学習し、細胞内の物質の移動や代謝を理解する。糖質・脂質・タンパク質から行われるエネルギーの産生を理解するとともに、病態時の変化を学習する。DNAをはじめとする核酸が関与する遺伝とタンパク合成に関して学習する。

(4)情報科学演習(分担)

情報化時代に対応した情報科学の基礎知識を学習するとともに、いわゆるオフィスソフトの利用スキルを身に着けるため、情報処理教室において、例題を使った演習を行う。

(5)統計学

医療、看護でも多用される統計について、データの処理の基礎から学ぶ。統計解析、統計推計と仮説検定について、その理論と分析手法を学ぶ。

(6)臨床薬理学特講

薬理学、臨床薬理学で学んだ薬物療法と薬に関する有害事象について、個別性を重視した看護の視点から、より実践的な薬物に関する内容を学習する。

(7)保健統計学特講

看護における課題解決に取り組むために、様々な研究が行われる。また、病気の予防や健康増進を図るために数多くの保健統計調査がなされ、保健指標が公表されている。本特講では、研究を遂行する上で必要な代表的統計分析について具体的手法を事例データを用いて学習する。

(8)看護の統合と実践Ⅳ(分担)

実習で学習したチーム医療をふりかえり、医療安全対策の概略、事故発生のメカニズムと事故防止の考え方、自分自身の力で医療事故を回避する方策について学習し医療安全の基礎的知識を習得する。

(9)臨床薬理学(修士課程)(分担)

薬物療法を有効かつ安全に行うためには、個々人の特性と使用する薬剤の特性とを的確に理解・判断する必要がある。臨床薬理学は薬と生体とを総合的に把握し、合理的な薬物療法を目指す。

(10)情報処理学(修士課程)(分担)

保健・医療・看護分野におけるデータの統計・情報処理に必要な知識と分析の方法を修得する

(11)周産期ケア演習Ⅰ、Ⅱ 、Ⅲ 、リプロダクティブヘルス論(修士課程)(分担)

妊娠・出産・産褥ならびに授乳期に用いられる薬剤の薬効ならびに有害作用を学び、安全かつ安心な薬物療法を理解することによって助産ケアに生かす。

(12)科学的研究方法論Ⅰ(実験研究)(博士課程)(分担)

設定した研究テーマに対して科学的根拠を明らかにするために有効な実験デザインと準実験デザインによる研究計画と各種測定手法を理解し、実践することができる。

主な研究とその概要
(1)がん化学療法に伴う有害事象に関する研究
日本の死因1位である悪性腫瘍に対して様々な療法が開発されているが、併発する有害事象に患者は苦しめられている。有害事象を軽減する薬物療法について研究を行っている。
(2)手術に起因する術後症状の緩和に関する研究
外科的手術は侵襲行為を伴うため術後合併症を引き起こすことがある。術後症状のうち特に術後嘔吐PONVに焦点を当て、その緩和の方策について研究している。
(3)寒冷地の災害対応に関する実践研究
災害大国日本では様々な種類の災害が絶えず発生する。万が一災害が発生した際の対応方法について、実践的演習を踏まえた開発・研究を行っている。特に、真冬に氷点下20℃を下回る北海道オホーツクフィールドを活用し、過酷な厳冬期の避難所を実証展開することで、北海道のみならず日本全体の冬期災害対策に資する研究を実践している。
主な所属学会
  • (1)避難所・避難生活学会・理事
  • (2)日本災害医療薬剤師学会・理事
  • (3)日本災害医学会
  • (4)日本薬理学会
  • (5)日本臨床薬理学会
  • (6)日本薬学会
  • (7)日本雪氷学会
  • (8)日本災害食学会
主な著書・論文
著書
・Effects of dopamine, prostaglandins and digitalis on isolated abdominal vagus nerve in rats. in: Advances in neuroregulation and neuroprotection, Collin C et al. (eds), VSP, Netherlands. 2005
・看護学生とナースのためのベーシックナーシング,5.代謝と栄養,メディカルレビュー,2011
・患者を看る「薬の有害反応ハンドブック」,医歯薬出版,2011
・厳冬期!大規模災害にどう立ち向かうか,人道研究ジャーナル,5,144-149,東信堂,2016.
・フィンランド赤十字の取組みから考察する日本の冬期対策,人道研究ジャーナル,7,144-153,東信堂,2018.
・いのちと健康を守る避難所づくりに活かす18の視点,12.寒冷期,別冊地域保健,東京法規出版,2018.

・避難所環境におけるトイレと食事の課題,地域保健,51,18-21,2020.

論文
・5-Hydroxytryptamine (5-HT)-induced depolarization in rat isolated abdominal vagus nerves: involvement of 5-HT3 and 5-HT4 receptors, Research Communications Molecular Pathology and Pharmacology Vol. 109, 217-230, 2001.
・Effect of indisetron, a 5-HT3/HT4 receptor antagonist, on paroxetine-induced emesis in suncus murinus, Biogenic Amines, 22, 127-139, 2008.
・認知症の行動・心理学的症状に及ぼす最低用量を下回るスルピリド経口投与の影響(第2報), 応用薬理, 84, 67-73, 2013.
・寒冷地の冬期被災を想定した実証的災害対策への取り組み,北海道の雪氷,32,74-77,2014.
・冬期被災を想定した体育館型避難所演習の実践内容に関する考察, 寒地技術論文・報告集, 30, 122-127, 2014.
・暴風雪時の車内閉じ込め事象を想定した車内泊装備の検証, 北海道の雪氷, 33, 145-148, 2014.
・暴風雪被害から身を守る車両内装備品の実践的な評価, 北海道の雪氷, 34, 55-58, 2015.
・暴風雪の停電下に暖房避難所を展開するための実践的検証, 寒地技術論文・報告集, 31, 17-22, 2015.
・厳冬期の避難所における既設型シェルターシステムの有用性,北海道の雪氷,36,25-28,2017.
・冬期の避難所における段ボールベッドの防寒・保温効果の評価,北海道の雪氷,36,101-104,2017.
・厳冬期に無暖房で展開した体育館型避難所の安全性,寒地技術論文・報告集,33,79-84,2017.
・無暖房の冬期大規模収容避難所において睡眠に影響する因子,寒地技術論文・報告集,34,51-56.2018
・冬期の避難所におけるダクトヒーターを用いた暖房方法の有効性と安全性,寒地技術論文・報告集,35,102-107.2019
・備蓄型段ボールベッドの導入による避難所環境の改善‐平成30年北海道胆振東部地震において‐,平成30年北海道胆振東部地震建築設備関連被害報告書,空気調和・衛生工学会北海道支部,9-12,2019.
・災害関連疾患を軽減するためのトイレ対策,けんせつPlaza,https://www.kensetsu-plaza.com/kiji/post/29931(2019)
・厳冬期災害に対応した防寒型避難所の展開・支援策の検討,寒地技術論文・報告集,35,102-107.2020
・感染症ならびに低体温症対策を施した寒冷期災害の避難施設に関する検討,北海道の雪氷,40,57-60,2021.

・寒冷期の避難生活を想定した就寝資材の検討,日本衣服学会誌,64,9-13,2021.

受賞
平成26年 北海道雪氷賞 北の六華賞 日本雪氷学会北海道支部
平成28年 寒地技術賞 地域貢献部門 北海道開発技術センター
平成30年 北見医工連賞 北見医工連携研究会
令和元年 寒地技術賞 計画部門,北海道開発技術センター

令和2年 学術委員賞 日本災害食学会