日本赤十字北海道看護大学

赤十字について

赤十字について

活動報告

赤十字の看護学生としての、体験や学びが様々な場所で活かされる
日本赤十字社第1ブロック支部
“合同災害救護訓練釧路”に参加。
医療職の活躍を肌で感じ、活動の重要性を学ぶ。
合同災害救護訓練釧路

平成25年9月28日・29日の2日間、釧路市の釧路赤十字病院において、日本赤十字社第1ブロック支部合同災害救護訓練が開催されました。本年は北海道支部の企画により、北海道内の赤十字病院のみならず、宮城県支部をはじめとする東北ブロックの赤十字病院との合同訓練であり、緊張感に満ちた本番さながらの実働訓練でした。昨年、宮城県支部主催で実施された東日本大震災での日赤の救護活動検証会の結果や、第1ブロック救護課長会議をもとにプログラムが作成され、災害時の赤十字の指揮命令系統の確認、福島を受けての被ばく講座、石巻赤十字病院の実態を受けてのDMORT(ディモート:災害死亡者家族支援チーム)活動などが盛り込まれました。

本学の「災害beatS研究会」が“厳冬期災害対策演習”。
大規模避難所の設営に関する演習を実体験。
厳冬期災害対策演習

冬期に停電が生じた際、家庭内のFFストーブをはじめとしてほぼすべての暖房機器が使用不能となります。避難所として指定されている場所も同様であり、万が一の際には低温により命を落とす可能性があります。停電時であっても効率よく多人数を暖めることができる避難所を設営する“対応策”を見出す実証訓練、それが厳冬期避難所演習です。過去3年間で蓄積された様々な知恵を結集し有効性と安全性を検証しました。
演習日の最低気温は氷点下16度と文字通り厳冬期の演習となりましたが、体育館内の機材(バレーボールコート等)を活用した厳冬期避難所の設営演習、特殊テントにペレットストーブを配置した屋外避難施設の設営演習の展開により、温かさを保持した避難所を検証することができました。

米国赤十字社ロサンゼルス支部へ看護研修。
多くの刺激を受け、
看護に対する視野を広げての帰国。
米国赤十字社ロサンゼルス支部へ看護研修

この海外研修は、本学の“看護開発センター”が企画し、在学生と引率教員が参加した研修プログラムです。アメリカの高齢者施設、急性期病院、小児病院と回り、米国赤十字社のロサンゼルス支部へ訪問。ここでは災害支援や血液事業、国際的な活動を学びました。特にアメリカの血液事業についての講義を受け、血液センターを見学することで、日本との違いをより具体的に学ぶことができました。米国赤十字社の活動を知ることで、赤十字は世界中とつながっていること、すべての赤十字は常に協力しあっていることを強く実感しました。海外研修に参加することで、日本とアメリカの医療制度の違いを知るなど、多くの刺激を受けると共に、看護や医療に対する視野を広げるよい機会になりました。

本学の教職員が“東日本大震災”の救護活動へ。
「こころのケア」を中心に、赤十字を強く実感。

成人看護学領域 教授 尾山 とし子

成人看護学領域教授尾山とし子

3月末に釜石市、4月中旬には陸前高田市において赤十字の救護班と共に、「こころのケア」要員として活動しました。短い活動期間でしたが、様々な出会いがありました。
釜石の避難所では、劣悪な生活環境の中でも、復興への力強い思いと、援助に対する感謝を示す高齢者の方、泥にまみれたアルバムの写真を眺め、ご遺族に思いを馳せて涙ぐむ方、また、明るく振る舞い、楽しく縄跳びをする子ども達。
陸前高田では、ご家族の遺体を四十九日までには見つけたいと、悲しく切ない表情の方、津波に襲われた時の情景を鮮明に語り、まだ夢のようだと現実を受け入れられない方、母を亡くした1歳6ヵ月の子どもを抱え、途方に暮れる祖母の姿。
被災者の方達を目の前にして、言葉も無く、ただ、語られることの意味を感じながら傾聴し、背中をさすり、手を握るだけの日々でした。「こんな危険な所によく来てくれたねえ。ご家族もいるんでしょう。」と私の身を案じる温かい言葉。「地震や津波には遭いたくなかったけれど、こんな事でもなかったら、あなたに会うことはできなかったわねえ。」と握ってくれた手のぬくもり。
援助する者、援助される者という関係ではない、人と人とのふれあいから生まれる自然で、純粋な“やさしさ”を実感し、災害時に求められる看護の姿勢について考える機会となりました。

“国際医療派遣要員”としてイラク共和国へ。
帰国後の看護観に大きな影響を与えた国際活動。

日本赤十字社和歌山医療センター
高度救命救急センター集中治療室勤務 小笠原祐子さん

高度救命救急センター集中治療室勤務小笠原祐子さん

平成25年3月から2ヵ月間、イラク共和国の北部クルド人自治区にある戦傷外科病院で活動をしてきました。イラクという国は、フセイン政権が崩壊した今でも、各地で紛争や暴動の絶えない紛争国です。活動場所であったEMCという病院は、主に銃や地雷などで怪我をした患者さんが運ばれてくる専門病院です。決して大きな病院とは言えませんが、外科医の技術や、看護師の創に対する管理力は非常に高いと感じました。
今回の派遣は、将来戦傷外科の現場での、実践的な知識や技術を習得する事が目的です。具体的な行動や目標は全て自分で設定し、現地の看護部長にアドバイスをもらいながら研修を自ら進めて行くという方法です。スタッフは大半が英語を話す事が出来ます。しかし、患者さんや家族で英語を話す人は殆どいません。そこで、看護技術と平行して簡単な現地語をマスターすることから始めました。覚えたての現地語を使って、毎朝始業前に全患者の状態を見て声をかけて回っていました。このことを続けていると、いつの間にか患者さんや家族の方から直接声をかけてもらえるようになりました。この研修を終えたとき、非常に有意義に思えたのはスタッフだけでなく患者やその家族の協力が非常に大きかったからだと思います。
また、日本ではできないような看護も経験する事ができました。緊急手術室で手術の助手で入ったり、外来部門ではスタッフの一員として働くという予想外の展開もありましたが、このよう経験は非常に貴重です。私自身の看護観や医療のあり方に対する考えに、大きな影響を与える機会となりました。もし、可能なら是非もう一度この病院に戻りたいと心から思える、本当に素晴らしい2ヵ月間でした。