赤十字は「人道・公平・中立・独立・奉仕・単一・世界性」という7つの普遍的な原則(赤十字の基本原則)のもとに、世界最大のネットワークを持って活動する人道機関です。
「赤十字国際委員会」「国際赤十字・赤新月社連盟」「各国の赤十字社・赤新月社」の3つの機関で構成されており、日本赤十字社は世界の190ヵ国に広がる赤十字・赤新月社のひとつです。
1859年6月、スイス人実業家アンリー・デュナンは、イタリア統一戦争の激戦地ソルフェリーノを通りかかり、4万人もの死傷者がでる悲惨な光景を目にしました。デュナンは「傷ついた兵士はもはや兵士ではない、人間である。人間同士としてその尊い生命は救われなければならない。」との信念のもと救護活動にあたりました。ジュネーブに戻ったデュナンは、戦争犠牲者の悲惨な状況を「ソルフェリーノの思い出」に著し、国際的な救護団体の必要性について訴えました。この本はヨーロッパ各国に大きな反響を呼び、1864年にはジュネーブ条約が調印され、「国際赤十字組織」が誕生しました。
赤十字のマークは「白地に赤い十字」とされていますが、これは赤十字の創始者アンリー・デュナンの祖国に敬意を表し、スイス国旗の配色を反転したものです。イスラム教国では赤新月と称し、白地に赤色の三日月を用いています。また2007年には、この2つに加えて、白地に赤いひし形を配した「レッドクリスタル」が第3のマークとして認定されました。
1965年にウィーンで開催された第20回赤十字国際会議で「赤十字基本原則」が決議され、宣言されました。赤十字基本原則は、赤十字の長い活動の中から生まれ、形作られたものです。「人間の生命は尊重されなければならないし、苦しんでいる者は、敵味方の別なく救われなければならない」という「人道」こそが赤十字の基本で、他の原則は「人道」の原則を実現するために必要となるものです。